日本メーカーに勤めるイタリア人の話。

「1年過ごせるだろうか怪しいぞ」という予算で渡航したため、バイトを探すのが日課でした。
「ビジネスデザインを学んでいるんだから、自分でビジネス創りなさいよ」という正論は、
ぐうの音も出ませんので、先に謝っておきます。

渡航する前から、日本料理店に履歴書を送りつけたり、連絡をしてみたりしていたものの、
やはりイタリア語を流暢に話せないと難しかったり、学校の授業との調整が難しかったりして、
なかなか実現出来ずにいました。
そんな折に、ミラノの和雑貨店が折り紙イベントの補助スタッフを募集していることを知り、
11月に参加させてもらいました。
日本企業の記念年をミラノ支社でお祝いするパーティーでの折り紙イベントでした。

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受付のオブジェ。

 

開会式では、所長さんからのお言葉のあと、記念映像を見たのですが、日本から遠く離れたイタリアの地で、イタリア人(日本人はいません)がお祝いしているのは、不思議な気持ちになるものです。日本企業に所属しながらの海外駐在や海外市場開拓は、それはエキサイティングな経験なんだろうな〜と思います。

若い方からおじさままで、すごく熱心かつ真剣に折り紙を折ってくれて、嬉しかった!
イベントが終わると、立食パーティーがあり、ちゃっかり頂いてきました。
普段、イタリア料理を食べないので、美味しいお酒に美味しい生ハムにこの上ない幸せでした…

さて、その際に、色々な方とのぶっちゃけ話が面白かったので、共有したいと思います。
主観とお酒が入っていることをふまえて、いち個人的見解と思ってもらえれば、幸いです。

BtoCのプロダクトを扱うマネージャーのお話

  • あのね、僕思うんだけど、「限りのない成長」を企業の目標に置くのってもう難しいと思うんだ。例えばさ、テレビはさ、何台も何台もいらないだろ?もう売っていくの本当に厳しいんだよ。違う目標を掲げないといけないと思うんだよね。
  • 人生をさ、楽しむことがまず大事だと思うんだ。人生を楽しむ、がまず先にあって、
    仕事がいそがしくて、人生を楽しめないっていうのは本末転倒だと思うんだ。
  • でも、もちろん仕事も大事なのは当然さ。だからね、「バランス」だと思うんだよね。
    人生で大切なのって、バランスなんだよ。
  • 日本企業はさ、謙虚でリスクを回避したがるから、売り文句の資料には、要件をかなり詳しく正直に書くんだよね。一方、米国企業は、「NO1」と断言して書くものだから…。それから日本の中央で製品開発していて、地域に合わせた製品戦略はないんだよね。なかなか厳しいよ。
  • 日本企業は米国企業と違って長く雇用してくれるのは、本当に有り難いね。
    イタリアは不景気で、大学を卒業しても就職できる人は限られていて雇用環境は厳しいんだ。

売上責任を持つ現場マネージャーのありがちなぼやきなのかもしれませんが、現場で働く人から実感を持って直接話を伺えると「なるほどな〜ふむふむ」と妙に納得してしまいました。

 

ワークライフバランスと労働環境の議論 オランダのイケイケ感

いま日本政府で労働時間を見直す動きがありますが、働いている本人が人生を楽しんでいないとしたら、人生を楽しませる人が欲しがる製品やサービスをどうやって創るんだろう、と素朴に思います。

中央省庁の人たちも激務と聞きます。実際の業務量が多いことに加え「国民の税金で働いているから、多くを求めず私欲を持たず業務に邁進しなければ」という強迫観念がありそうに思います。
ヒューマンエラーによる間違えがあっては困る責任の重い仕事だからこそ、ルールとシステムががちがちなのも想像がつきます。

個人的な体験では、省庁や市役所に訪れて、オフィス環境を見たときに「おうっ」と驚きました。
「紙が…ファイルが…めっちゃある…」
整理整頓がほんとに苦手なのと、黒澤監督が「生きる」で描いた様子と時代を経ても変わらない景色が目の前にあったことに、感嘆のまじった驚きがありました。
でも同時に、ここで毎日暮らすのは、つらいな〜と感じました。
私は極端に窮屈な環境が嫌いかつ苦手なので、個人の好き嫌いがあるのもしれません…
働いている人はどんな気持ちなのか知りたいところです。

「公務員の方に素敵な仕事環境でハッピースマイリーに働いて頂いたら、きっと柔軟な行政のやりとりや連携も可能になって、なんだかハッピーな国になりそうだな〜」と思います。

イノベーション先進国であるオランダでは、水利運輸管理省がこんな場所をつくっています。
これはすごい。私はイケイケ感に圧倒されて「ぽー」と何にも考えられなくなりそうですが、素敵ですよね。

参照サイト:
フューチャーセンター研究会
三菱UFJリサーチ&コンサルティング「施策立案に対話文化を」